谷本桂一郎
リハビリへの想い

作業療法士の谷本桂一郎です。
作業療法士となり7年目を迎えた今年、東京の回復期病院から移ってまいりました。以前は、入職から6年半を回復期病院に勤め、主に脳血管疾患を患った方々のリハビリを行ってきました。また、入院患者様のリハビリを担当する傍ら、2年9ヶ月の間、訪問リハビリも行ってきました。
これまでの経験より、入院患者様のリハビリでは作業療法士として主にADL能力の向上・再獲得が求められる事が多い中、訪問リハビリでは病前に行っていた家事や趣味活動が出来なくなる事で、一日テレビを眺めていたり・通所へ行かされている利用者様を多く見てきました。利用者様も入院中に考えていた退院後の生活とは徐々に、そして多くの事が異なるという現実があるようです。どうしても入院中は「今、出来ない事」「今、困っている事」に目が行ってしまう為と考えられます。
この“家事や趣味活動”は自身のQOL(生活の質)を高める機能を伴っていると思います。
皆さんも想像してみてください。
主婦の方は普段、朝食の仕度・洗濯・掃除・夕食の仕度など一日の多くを家事をする事で成り立っていると思います。この家事活動が失われる事で家族の中での役割。もっと言ってしまえば少なからず存在価値すら損なわれてしまうのではないでしょうか。
また、趣味活動はどうでしょう。
「自分から趣味の時間を省いたら、日頃の生活にどのような影響を及ぼすのか?」
私自身は、小学生時代から続けている野球や、仲間内でのフットサル。近年少しずつ参加しているマラソン大会など、休日には極力外に出て運動をする日々を送っています。
このような趣味活動の時間が丸々失われたらどの様に感じるのか。想像し辛いことかもしれない事ですが、生きがいを失う事に比例するケースも多いように思います。
作業療法士として、上記に挙げた“家事や趣味活動”の再獲得という事が求められる大きな役割と感じています。
“家事や趣味活動”の再獲得の難しさは?
この点に関しては多くの会話から利用者様の本心を見極めていかなくてはならないと思いますが、私自身もこれまでの経験で悩む事が多くありました。
「上手く手が使えない。」「運動すると疲れや痛みが出てしまう。」といった病気に伴う根本的な問題が残っている場合もあります。